アナログイラストのよさはなんといっても、紙に描かれた独特の味わいや質感があることです。また鉛筆や色鉛筆があれば、とりあえず気楽にはじめられるのも魅力です。今回はアナログメイキングに欠かせない道具と道具別の色付け方法を紹介します。
この記事の目次
アナログイラストの魅力を知ろう
最近はデジタルイラストが何かと話題になりますが、アナログイラストにもデジタルでは出せない色味や質感、独特の雰囲気があり根強い人気があります。
ここでは、まずアナログイラストとデジタルイラストの違いを説明し、ついでアナログの良さについて紹介します。
アナログとデジタルの違い
アナログイラストは紙などに直接鉛筆やインクで描き、色鉛筆やコピックなどで色付けしたものです。できた作品は『唯一のオリジナル作品』でまったく同じものはありません。
比較的安価な画材が多く種類も豊富なので、自分の好みのものを揃える楽しみもあります。また持ち運びが比較的楽です。
デジタルイラストはパソコンなどの電子機器で描いたもので、ペイントソフトやペンタブレットが必要です。作品は複製が可能で、パーツごとに保存して他の作品に転用も可能です。
アナログの良さとは

アナログの良さは、まずデジタルにない色合いと質感がある点です。絵筆のかすれやインクの飛び散りなど含めて味わいや温かみ、実物感があります。
塗りでも絵の具を重ねての盛りあがりや、金色や銀色の光沢やラメの質感などの輝きはディスプレイでは再現できません。キャンパスの微妙なざらざら感や紙の質感も独特で、さらにものを貼り付けるコラージュ(※)などで立体感ある表現もできます。
※コラージュとはイラストなどを切り貼りして作品を作り上げる技法のこと
アナログメイキングに欠かせない画材

アナログメイキングに欠かせないのが画材です。ここでは線描や色塗りに必要な画材を紹介し、さらにイラストを描画する紙について、画材ごとに適する紙の種類も含めて説明します。
鉛筆、ペン、消しゴムなど
アナログイラストに欠かせない画材として下記があげられます。
- 鉛筆
- 消しゴム
- 色鉛筆、水彩色鉛筆
- コピック
線描には鉛筆を使用します。芯が硬く色のうすいHなどは消したとき跡が残るので、芯の柔らかく色の濃いHBから3Bくらいのものを揃えましょう。修正には消しゴムを使用します。
色塗りには色鉛筆や顔料が水に溶けて水彩のようになる水彩色鉛筆、カラーペンのコピックを使います。色鉛筆、水彩色鉛筆は24色か36色のセットがおすすめです。安いものは発色がよくないので1,500円から2,000円前後のものを揃えましょう。
コピックは初心者にはコピックチャオがおすすめです。はじめは基本色を購入し後から欲しい色を足していくとよいでしょう。1本250円ほどです。
それぞれの使い方については後述します。
紙にも特徴がある
紙には下記のようなものがあります。それぞれ用途に合わせて選択するとよいでしょう。
- コピー用紙
- スケッチブック
- ケント紙
- 水彩紙
コピー用紙は1束500枚のセットで販売されており、比較的安価で大量に用意できるので気がねなく使えます。鉛筆画、ペン画に適しています。
水彩やコピックでは色塗りで波打ったり裏写りしたりしますが、色鉛筆なら大丈夫です。着色もきれいにできます。スケッチブックは線画からカラーイラストまでOKです。迷ったらスケッチブックを1冊購入しましょう。
ケント紙は滑らかで光沢があり厚みのある紙です。ペン画やカラーイラストに向いています。水彩紙は水彩色鉛筆に適しています。水の吸い込みをよくするため表面にデコボコがあります。
種類は細目、中目、粗目とありますが、初心者には伸びがよく発色がきれいな細目か中目がおすすめです。
いろいろ選べるアナログの色づけ

アナログイラストの色塗りですが、画材の選択でそれぞれ特色のある色塗りができます。ここでは、色鉛筆や水彩色鉛筆、そしてコピックの色塗り方法を紹介します。
お手軽な色鉛筆
色鉛筆は立てて描く方法と寝せて描く方法があります。立てる方法は細かい描写に向いています。寝せる方法は広い面を塗ることができて、やさしい感じがでます。塗りには寝せる方法がよいでしょう。
塗り方は同じ方向に引く感じでうす目に描いていきます。そして1方向からだけでなく、塗り重ねや混色には『カケアミ(※)』で描くと効果的です。
※カケアミとは重ねて色を塗るときに左斜め、右斜めさらに縦線と塗る方向を変えることで色を濃くしたり混色したりする技法のこと
色付けはまず下塗りでうすい色をざっと塗ります。次に影の部分は少し濃い目の色でさっと影を付けてベースをつくります。影の強調部分はさらに濃い目の色を入れ、ベースの色へ上塗りするイメージです。
奥行きが出せる水彩
色塗りは色鉛筆と同じです。しかし水彩色鉛筆の顔料は水に溶ける性質があるので、色塗りが済んだあと『水筆ペン(※)』でなぞることで水彩のような表現ができ、色鉛筆とは違った味わいが楽しめます。
※水筆ペンとは、インクの入るところに水が入っている筆ペンのこと)
水筆ペンは立てると線が残るので、『少し寝かせてやさしく塗る』と顔料がうまく溶けて見栄えがよくなります。塗った部分を水筆ペンで伸ばすと水彩画のようなにじみが表現でき奥行きもうまく表現できます。
色彩多数なコピック
コピックのペン先は『ミディアムブロード』(広く塗れる、角が使える)と『スーパーブラシ』(筆ペンのように塗れる)の2WAYになっています。
線引きでは、スーパーブラシは寝せると太線が、立てると細線が引けます。ミディアムブロードは斜めに持つと太線、角を使うと細い線を引くことが可能です。色塗りはうすい色から塗り重ねていきます。徐々に濃い色を塗り重ねることで濃淡が表現でき、はみ出しても修正できます。
ムラなく塗るにはスーパーブラシのペン先を使い、紙から離さないでくるくると小円を描くように塗り、だんだんと円を広げるようにしていきます。
色番号までわかるコピックメイキング動画
コピックで描く前に、メイキング動画で使い方を学ぶことをおすすめします。実際に作業しているところが動画で見られるので、文章や静止画ではわかりづらい動かし方もチェックできます。
YouTubeにはコピックを使ったメイキング動画が多数投稿されています。なかには画面にコピックの色番号を表示しているものもあり、カラー選択の参考にできます。
まとめ
アナログイラストは、デジタルにない味わいや温かみが特徴です。また鉛筆や色鉛筆など比較的安価に画材を揃えることができるので、気軽にはじめることもできます。
色付けも色鉛筆やコピックなどの特徴を活かして描くことでさまざまな特色ある表現が可能です。